未知の才能を目覚めさせ、ルワンダに新たな文化を作りたい
中込さん:鈴木さんが現地で経営していたバーも、一からつくったんだよね。
鈴木さん:そうそう。バーをつくろうと思った理由は、ルワンダで出会ったたくさんの才能をプロデュースする場所が欲しかったから。彼らはシャイだけど、すごくいい才能を持っているんです。異空間のような場所にしたくて、凝った内装を手作りしました。バーをキッカケに多国籍のバンド活動も始めて、俺はボーカルとハーモニカを担当してました。
中込さん:そう! 鈴木さんって歌もうたうんですよ!
鈴木さん:アフリカ人のほうが歌はうまいんだけど、アフリカ人からすると自分たちが出せない声を持ってる日本人の歌声がおもしろいらしくて。俺が歌うとすっごい盛り上がるんだよね。アフリカ人の演奏に合わせて、ルワンダ語の歌をうたってました。
ルワンダのバーのメンバー&中込さん(後列右から3番目)&鈴木さん(後列左から3番目)
中込さん:鈴木さんはバーの店員さんとか住んでた家のガードマンとか、みんな雇ってたよね。それは本当にすごいと思ってました。
鈴木さん:ガードマンで雇っていた彼は1年間真摯に働いてくれて、すごくいい男だったので、このまま安月給のガードマンで終わらせてしまうのはあまりにもったいないと思って、建築の学校で学ぶための学費を出資しました。ちょうどバーを作るために大工が必要なタイミングだったので。と言っても、四半期で8,000円ぐらいですが。
中込さん:いや、でも彼だけじゃないでしょ。すごいですよ。
鈴木さん:でも、バーは経営的にキツくて結局やめてしまって。ただ、才能ある人たちが目覚めるような場所をルワンダに作りたいという想いはずっと持っています。ルワンダってストリートパフォーマンスが禁止されているんだけど、それを合法的にできる大きな空間を作りたい。
とはいえ利益をあげられる確証がないので、それなら「アート活動です」って言いきっちゃえばいいと思って、1年半前から画家の活動を始めたんです。
コーヒーで色付けした鈴木さんのアート作品。生命の力強さと神秘を感じました
中込さん:アート活動を始めるまでに、いろんな背景があったんだね。
鈴木さん:昔からずっと「文化を作りたい」っていう夢があって、そのためにファッションから入ろうと考えて、まずはデザイナーを目指しました。洋裁とか音楽とか絵とか、いろんなことを覚えられる才能が自分にはあるので、それをルワンダで教えて文化を作っていきたいなって。
エグい失敗も散々してきたけど、僕にとって動いていないことは概念的には“死”と同じなんです。自分が今やりたいことには、人生をかける価値があると思える。だから、これからも夢に向かって動き続けます。
「生きる目的」すなわち「人生の使命」と言えるものを見つけたお2人は、エネルギーに満ちあふれてキラキラしていました。これはアフリカのコミュニティに入ってからずっと感じていることですが、アフリカの地に足を踏み入れると、何かしら「生きる目的」を見つけて輝いている人が多いんですよね。
アフリカの人の生き方や文化に触れた人たち、そして太陽のような明るさを持つアフリカの布からも、並々ならぬ生命力が湧き出ている気がして、だからこそ私も無性にアフリカに惹きつけられてしまうのだと思います。一生に一度は、誰しもがアフリカを訪れたほうがいいのかもしれない!(笑)そんなことを感じた幸せな一夜でした。
私が以前に中込孝規さんをインタビューした記事はこちらです。ぜひ、あわせて読んでいただけたら嬉しいです!
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